吉岡直樹のジャズ・スタンダード研究

ジャズ・スタンダードについてひたすら書きます。

On The Sunny Side Of The Street の4小節目

私の限られた経験ですが、ジャム・セッションにおいて、この部分は、5小節目のVIm7(これは平行調のトニック・マイナーというにはやや大袈裟でしょうか?)への(広義の)「トゥ・ファイブ」(すなわち、転調でないというならセカンダリドミナントとそれに先行するハーフ・ディミニッシュ・コード)であるVIIm7(♭5)-III7 と演奏されるケースが多いようです。

でも本当にそうかな、と違和感を覚えて調べてみました。

どっちが正解とか不正解というわけではないけれども、あまり(広義の)「トゥ・ファイブ」にとらわれず、たまには、V7-♯Vdim7という進行で演奏してみてはどうかと個人的には思います。あくまで趣味や好みの問題です。

スケール的には、VIIm7(♭5)はロクリアンで、V7のミクソリディアンと共通、また、♯Vdim7も、ディミニッシュ・スケールを用いるピュアな(?)ディミニッシュではなく、わざわざ回りくどくかくなら、III7(♭9)/♯V ってことなので(私は、「偽ディミニッシュ」と勝手に呼んでいる)、これも実質同じコード。

すなわち、譜面を見ずに演奏して、ソロイスト、ピアニスト、ギタリスト、ベーシストがバラバラに解釈しても、サウンドが壊れる心配をしなくてもよいと思います。

ベースがどういうラインを弾くかでコード表記が決まるようなところがあります。このようなところにおいて、ピアニストは左手でコードのルートを強要せずにベーシストの判断に任せて欲しいと思います。もっとも気の利かないベース弾きもいると思うのでお互い様ですかね。