吉岡直樹のジャズ・スタンダード研究

ジャズ・スタンダードについてひたすら書きます。

Beatrice の12小節目

オリジナル・キーで説明します。すなわち、Fメジャーで始まって、Fマイナー(同主調)で終わると解釈するものとします。

さて、この曲の12小節目はDm7、すなわちFメジャーからみて平行調のトニック・マイナーなのですが、たまにDmaj7と書いてある譜面を見かけることがあります。

これは、Sam Rivers/Fuchsia Swing Song の録音を聴くと、イントロに続く1コーラス目のこの箇所で確かにメジャー・コードに聞こえなくもない、というか、ピアニスト(Jaki Byard)が、前の小節からの下行ラインの流れから思いっきり1拍目にF♯の音を含めて弾いているので、そのように解釈するのも無理もないと思います。

ところが、次のコーラス(テーマの2まわし目)を聴くと、これは明らかにDm7で、以下、一貫してこの小節目はマイナーなのであります。

1コーラスだけ聴いて譜面を作って満足するのではなく、できればトラック全体を聴くのはもちろん、もし別テイクなどがあればきちんとチェックしたいものです。