There Is No Greater Love の13小節目
5-6小節目、すなわちAABA形式のうち最初のセクションAはII7なのはよいとして、2回目のセクションAの5小節目はどうなっているかということです。
ストレート・メロディとの関係からいえば IIm7 でも II7 でもよいはずなのですが、私は、なんとなく II7 でないとしっくりきません。
というわけで、手持ちの音源で調べてみると、こうなります。
- 1954年、Dinah Washington/Dinah Jams:II7
- 1955年、Miles Davis:II7
- 1956年、Tal Farlow/Tal:II7
- 1957年、Lou Donaldson/Wailing With Low:VIm7/II-II7
- 1957年、Peggy Lee/The Man I Love:II7
- 1957年、Sonny Rollins/Way Out West:II7
- 1959年、Paul Chambers/Go:II7
- 1960年、Sam Jones/The Soul Society:II7
- 1964年、Miles Davis/Four And More:II7
- 1965年、Chet Baker/Baker's Holiday:II7
- 1976年、Sarah Vaughan/Live From Japan:II7
これは賛否両論というよりは、II7一色に染まりました。
ちょっと後付けかもしれませんが、私なりに理由を考えたのですが、それは、ここがエクステンデッド・ドミナント、私はドミナント・セブンスの連鎖とかチェーンと説明するのですが、その一環になっているからだと思います。
エクステンデッド・ドミナントとは、リズム・チェンジ(いわゆる「循環」)のブリッジの「サン・ロク・ニ・ゴ」のように、完全5度下降するドミナント・セブンス・コードが連続する進行で、私はトライトーン代理も含めてよいと考えています。もちろん、ドミナント・セブンス・コードに先行する関係コードのマイナー・セブンス・コードやハーフ・ディミニッシュ・コードが挿入されても構いません。
さて、この曲の2小節目から8小節目にかけてエクステンデッド・ドミナントになっています。そして、9小節目から再びエクステンデッド・ドミナントが始まっています。
ところが、もし仮に13小節目をII7ではなくIIm7にしてしまうと13小節目からのドミナント・セブンス・コードのチェーンが一度断ち切られてしまって、14小節目のドミナントV7までつながりません。この小節目をIIm7としたときの私の違和感の原因というのは、まさにこの連鎖が切れることにあるのではないかと考えます。
皆さんはどのように感じるでしょうか。