As Time Goes By の2小節目
たまに、Vm7-V7となっている譜面を見かけます。
記憶が定かではないのですが、キーがFでCm7-C7としている日本で出版された曲集を見たことがあるように思うのです。
もしそうだとすれば、これは、Gm7-C7と書いてあったのを、原稿から出版までのどこかの過程で、Gm7のGの字がCに化けてしまったのではないか、と想像するのです。
以下、その根拠です。
- 1942年、Dooley Wilson(映画『カサブランカ』サウンド・トラック):IIm7-V7
- 1944年、Billie Holiday:IIm7-V7
- 1961年、Frank Sinatra:IIIm7, sup>(♭5)/ IIm7 V7
- 1965年、Jimmy Durante's Way Of Life:IIm7-V7
- 1975年、Tony Bennett:IIm7-V7、あるいはIIm7/V-V7?
- 1977年、Rosemary Clooney/Everything's Coming Up Rosie:IIm7-V7
- 1986年、Chet Baker/As Time Goes By:IVm6-V7(9小節目はIVm6-♭VII7?)
- 1993年、Natalie Cole/Take A Look:IIm7-V7
Vm7-V7が理論上誤りということはないのですが、時台的に考えてIIm7-V7とするのが素直なはずで、実際、『カサブランカ』のサウンド・トラックがそのようになっています。
手元に音源がなかったのでリストには載せませんでしたが、確かデクスター・ゴードンがIVm6-♭VII7のようにサブドミナント・マイナーで演奏していたはずです。チェット・ベイカーもその流れをくんでいるといえますね。