吉岡直樹のジャズ・スタンダード研究

ジャズ・スタンダードについてひたすら書きます。

Almost Like Being In Love の4小節目

この曲の一番解釈が分かれる箇所かと思います。

大雑把に、

  1. ♭IIIdim7
  2. VIm7
  3. VI7

の3つ、およびそれらから派生したものがあると考えられるでしょう。

メロディは、階名「ラーラシ」なので、どれも理論的にはあいます。ただし、VI7にするのであれば、少なくともテーマ中は短9度(♭9)のテンションを使わないように注意する必要があるでしょう。

以上は、私の個人的な好みの問題です。実際の 録音からいくつか拾ってみましょう。

  • 1952年、Carlie Parker(ビッグバンドのもの):VIm7
  • 1952年、Lester Young-Oscar Peterson/The President Plays With The Oscar Peterson Trio:IIIm7-♭IIIdim7(直前の小節はImaj7-IV7)
  • 1953年、Lee Konitz-Gerry Mulligan/Konitz Meets Mulligun:♭IIIdim7
  • 1953年、Nat King Cole Sings for Two in Love:曖昧だがImaj7のままか。ただし、12小節目は♭IIIdim7に聞こえる。28小節目はトニック・メジャー。
  • 1953年、Sonny Rollins with The Modern Jazz Quartet;VI7
  • 1957年、Art Blakey/Second Edition:IIIm7-VI7
  • 1957年、Red Garland's Piano:ピアノは♭IIIdim7(前の小節Imaj7)、ベースはIIIm7-VI7(直前はImaj7-IV7)で、一致していない。
  • 1959年、Chet Baler:IIIm7-VI7
  • 1961年、Frank Sinatra/Come Swing With Me:VIm7。ただし、2コーラス目はアレンジの関係もありIIIm7 ♭IIIdim7 / / 。

本当に好みが分かれていることが理解できるでしょう。