吉岡直樹のジャズ・スタンダード研究

ジャズ・スタンダードについてひたすら書きます。

VI7

Come Rain Or Come Shine の13-16小節目

この曲のもっともバリエーションが多い箇所ではないかと思います。 転調していると解釈できる演奏もありますが、混乱を避けるため敢えてメジャー・キーの文脈で書きます。 1950年、Sarah Vaughan/In Hi-Fi:Im6 | Vm7 | VI7 II7 V7 / | IIm7 V7 | 1954年、Di…

Polka Dots And Moonbeams の23-24小節目

この曲の譜面が配られて演奏していると、いくつか「え? そうだっけ」という箇所があります。そこで調べてみることにしました。 今回はブリッジから戻るところ。ブリッジは長3度上に転調していて、こういう箇所の度数表記は厄介だけれども、[III] が転調先(…

You'd Be So Nice To Come Home To の13-16小節目

ジャム・セッションなどでは、VIm7(♭5) | II7 | IIm7(♭5) | V7 | と演奏することが多いように思います。これは、大きく捉えると、ダブル・ドミナント(II7)とドミナント(V7) が2小節ずつということになります。 これはこれでよいのですが、どうもそうでも…

My One And Only Love の23-24小節目

AABA形式のブリッジ(セクションB)からセクションAに戻るところです。 ブリッジは長3度上のマイナー・キーに転調していると理解すればよいのだとは思いますが、ここは元のキーに戻るところなのであえて曲全体の(あるいはセクションAの)キーで表記します。…

Everything Happens To Me の6小節目

特になんだというわけでもないかもしれないのですが、ちょっと思うところがあるので記事にしてみました。 1940年、Tommy Dorsey楽団とFrank Sinatraによる初録音:IIIm7-VI7 1949年、Charlie Parker with Strings:IIIm7-VI7 1950年代、Bud Powell:Imaj7-VI…

Black Nile の17-18小節目

この曲の14-16小節目についてはすでに記事にしていて、ジャズ・オリジナルなのだからまずはショーターの演奏を聞こうよという内容でしたが、今回は、オリジナルを踏まえた上で、カバーの再解釈も悪くないよね、という内容です。 今回扱うのは、AABA形式のブ…

Someone To Watch Over Me の21-24小節目

この曲は全体的にコードのバリエーションがたくさんあって迷います。でも、あまり迷わない後半について書いてみようと思います。 たまに歌手の人と演奏すると、♯IVm7(♭5)-VII7 | ♯IVm7(♭5)-VII7 | IIIm7 VI7 | IIm7 V7 | のようなコードのついた譜面を渡され…

I'll Close My Eyes の27-28小節目

なんともないところなのですが、演奏していて違和感があったので調べてみました。 IIIm7 | VI7 | と書いてある譜面だったのですが、いやまてよ、III7 | VI7 | だったかなとも思ったり、トニックから始まっていたっけなと思い直したりしたもので。 1957年、Di…

Isfahan の2小節目

ジャズ・オリジナルなので、実音表記としましょう。 1小節目のD♭maj7と3小節目がE♭7に挟まれているので、常識的に考えるとB♭7、あるいはB♭m7が考えられるところです。 そして、この曲の場合B♭7が妥当だと思いきや、メロディが2分音符でA-B♭と動いています。B…

But Not For Me の13-14小節目

ここは、メロディとコードとの関係で非常に悩ましい箇所です。 ジャム・セッションでは、この2小節目を II7 とするか、あるいは、VIm7 | II7 | などとするケースが多いように思います。 ところが、ここのストレート・メロディは、階名で「ミーファド | ドラ…

Almost Like Being In Love の4小節目

この曲の一番解釈が分かれる箇所かと思います。 大雑把に、 ♭IIIdim7 VIm7 VI7 の3つ、およびそれらから派生したものがあると考えられるでしょう。 メロディは、階名「ラーラシ」なので、どれも理論的にはあいます。ただし、VI7にするのであれば、少なくとも…

Satin Doll の3-4小節目

テーマ中は IIIm7-VI7 | IIIm7-VI7 | のことが多いですが、ソロ中は、IIIm7 | VI7 | とすることがあるということではありません。それをいうなら、1-2小節目で説明しますから。 今回の議論は、IIIm7をどのスケールで演奏するか、ということです。 原則として…