吉岡直樹のジャズ・スタンダード研究

ジャズ・スタンダードについてひたすら書きます。

III7

Come Rain Or Come Shine の13-16小節目

この曲のもっともバリエーションが多い箇所ではないかと思います。 転調していると解釈できる演奏もありますが、混乱を避けるため敢えてメジャー・キーの文脈で書きます。 1950年、Sarah Vaughan/In Hi-Fi:Im6 | Vm7 | VI7 II7 V7 / | IIm7 V7 | 1954年、Di…

My Ideal の5-6小節目

なんてことはないのですが、譜面なしで演奏しているとどうすべきか迷うところ。 個人的には、 IIm7-V7 | IIm7-V7 | (VIm7) として、4拍目に♯Vdim7 を入れようか? IIm7-V7 | VIIm7(♭5)-III7 | IIm7-V7 | IIm7 (IIm7/I) VIIm7(♭5) III7 | IIm7-V7 | IIm7 / V7…

My Ideal の13小節目

よく知っているつもりで、日頃メモリー(譜面なし)で演奏できている気になっていたが、実は理解・検討が不十分だったと反省した曲。 メロディが階名で「ミソシラソドドラ」と8分音符で動いています。後半2拍が、メジャー・キーにおけるいわゆる「サン・ロク…

Old Folks の4小節目

私が「メジャー・キーのサン・ロク問題」と呼んでいる議論。 この曲に関しては、IIIm7-VI7かIIIm7(♭5)かIII7-VI7かという議論で、加えて、この曲には当てはまらないが、中にはIII7-VIm7(一例として、記事にした I Should Lose You の28小節目がありますが、…

All Of Me の3-14小節目

ジャズで取り上げる曲は、民謡やクラシック音楽をもとにした曲を別にすれば、概ね1920年代以降に作られた曲がほとんどです。 この時代になると、純粋なマイナー・キーの曲はごくわずかで99%くらいの曲が平行調か同主調のメジャー・キーに一時的に転調します…

Someone To Watch Over Me の21-24小節目

この曲は全体的にコードのバリエーションがたくさんあって迷います。でも、あまり迷わない後半について書いてみようと思います。 たまに歌手の人と演奏すると、♯IVm7(♭5)-VII7 | ♯IVm7(♭5)-VII7 | IIIm7 VI7 | IIm7 V7 | のようなコードのついた譜面を渡され…

I'll Be Seeing You の2小節目

メロディは階名「レドシド」。出版された譜面では、シンコペーションされていて「レ」が8分音符、次の「ド」が1拍目ウラの4分音符、「シ」が2拍目ウラの8分音符と3拍目4分音符のタイ、最後の「ド」が4拍目の4分音符になっています。 さて、コードですが、こ…

I'll Close My Eyes の3-4小節目

5小節目のVIm7への(広義の)トゥ・ファイブです。そして、その「トゥ」は、VIIm7(♭5)と考えがちです。 その理由として、第一にVIIm7(♭5)はダイアトニック・コードであること。第二に、5小節目の VIm7 を平行調のトニック・マイナーと考えた場合、3-4小節目…

Over The Rainbow の2小節目

この曲はよく知っているのだけれども、コード進行のバリエーションが多すぎて、譜面なしで演奏するには無謀だと個人的には思います。いざ、自分で演奏しようとコードを検討すると、なかなか全体的に調和させるのが難しく非常に悩ましいのですが、それもまた…

There Will Never Be Another You の11-12小節目

むしろ興味があったのは13-14小節目だったのだが、聴いていたらここも多少気づきがあったので記事にしてみます。 まずは音源を聴いてみましょうか。 1950年、Lionel Hampton:Imaj7 III7 | VIm7 | 1950年、Sonny Stitt:曖昧なところもあるが基本的に Imaj7 …

You'd Be So Nice To Come Home To の25-26小節目

ABAC形式のセクションCの冒頭2小節です。 ジャム・セッションのように譜面なしで演奏するときにいつもどうしようか悩むところです。いくつか音源をきいてみましょう。 1953年?、Bud Powell:VIIm7(♭5) | III7 | (ストレート・メロディにあわないが、大きく…

It Could Happen To You の7小節目

ジャム・セッションの定番曲ですが、なぜ皆が皆IIIm7(♭5)で演奏するのかといつも疑問に思っていました。 「そりゃ、みんな音源なんかちゃんときいていないもん、曲集のコードがそうなっているからでしょ!」という至極まっとうな答えを吐くと話が終わってし…

Just Friends の11小節目

話が前後しますが、この次の小節のメロディは階名「ラシドミ」(キーがFの場合D-E-F-A)で、コードが VIm7 の場合、コード・トーンのルート、長9度、コード・トーンの短3度、同じく完全5度となっています。 さて、11小節目に戻ります。信頼できる複数の曲集…

On The Sunny Side Of The Street の2小節目

前回、この曲の4小節目を記事にしたときに、2小節目も耳に入ってきまして、気づいたことがあるので記事にしてみます。 ここは基本的に III7 で、1小節目のトニック・メジャーから3小節目のサブドミナント・メジャーをつなぎます。 IVmaj7へ進行する III7 と…

On The Sunny Side Of The Street の4小節目

私の限られた経験ですが、ジャム・セッションにおいて、この部分は、5小節目のVIm7(これは平行調のトニック・マイナーというにはやや大袈裟でしょうか?)への(広義の)「トゥ・ファイブ」(すなわち、転調でないというならセカンダリ・ドミナントとそれに…

Confirmation の10小節目

AABA形式のセクションAの2小節目はどのように演奏していますか。 キーをFとしたら、Em7(♭5)-A7 でしょうか。 チャーリー・パーカーの演奏、例えばVerve盤のものをきくと、1コーラスに3回あるセクションAのうち、2回目の2小節目である10小節目のみA7、それ以…