吉岡直樹のジャズ・スタンダード研究

ジャズ・スタンダードについてひたすら書きます。

My Ideal の5-6小節目

なんてことはないのですが、譜面なしで演奏しているとどうすべきか迷うところ。

個人的には、

  1. IIm7-V7 | IIm7-V7 | (VIm7) として、4拍目に♯Vdim7 を入れようか?
  2. IIm7-V7 | VIIm7(♭5)-III7 |
  3. IIm7-V7 | IIm7 (IIm7/I) VIIm7(♭5) III7 |
  4. IIm7-V7 | IIm7 / V7 ♯Vdim7 |

のいずれかを想定します。

一番スムーズな動き(あくまで主観ですが)が 3. と 4. で、これらの2つと 1. はスケールも(ほぼ)共通しているので万一ピアノとベースがこのいずれかで解釈すればサウンドは破綻しません。また、もし相手が 2. の解釈をした場合は次のコーラスから対応できるという点で、とりあえず 3. か 4. を弾いておくかと判断するような気がします(その日の機嫌にもよりますが)。

音源をチェックしたところ、サンプルが少なかったこともあり、4. はありませんでした。

  • 1956年、Dinah Washington/In The Land Of Hi-Fi:1コーラス目は V7-IIm7 | V7-III7 | 、V7-IIm7 | IIm7 V7 VIIm7(♭5) III7 |
  • 1956年?、Art Tatum & Ben Webster Quartet:IIm7-V7 | IIm7 / V7 III7 | 、IIm7-V7 | IIm7-III7 | 、 IIm7-V7 | VIIm7(♭5)-III7 | 、IIm7-V7 | IIm7 / VIIm7(♭5) III7 | が混在している。おそらく譜面なしに演奏しているのだろう。
  • 1956年、Chet Baker Sings:V7-IIm7 | V7-III7 |
  • 1956年、Sonny Rollins/Tour de Force:IIm7-V7 | VIIm7(♭5)-III7 |
  • 1958年、John Coltrane/Bahia:基本的に、IIm7 | V7 / VIIm7(♭5)-III7 |
  • 1959年、Kenny Dorham/Quiet Kenny:IIm7-V7 | IIm7-V7 | が基本。
  • 1960年、Jimmy Heath/Really Big!:テーマは、IIm7 IIm7/I VIIm7(♭5) III7 | [ VIm7 VIIm7(♭5) III7 ] VIm7 ♭III7 | ([ ] は1拍3連。)ソロ中は、IIm7 IIm7/I VIIm7(♭5)-III7 | VIm7 |(VIm7 のクリシェはピアノの自己判断か?)。いずれもストレート・メロディにあわないようであう。
  • 1967年、Donald Byrd/Slow Drag:IIm7-V7 | VIIm7(♭5)-III7 |
  • 1975年、Sonny Criss/Out Of Nowhere:IIm7-V7 | IIm7 IIm7/I VIIm7(♭5) III7 |

大編成アレンジのジミー・ヒース以外は概ね想定内ですが、その次に特筆すべきは、V7-IIm7 | V7... でしょうか。4小節目の II7 も含め、特に2フィールの場合のベースの動きが合理的になります。考え方としてはやや古いのか時代を下るにつれて、他の楽曲も含めてこのような演奏は聞かなくなりますが個人的には興味深く、完全に捨て去るには惜しい気もします。