吉岡直樹のジャズ・スタンダード研究

ジャズ・スタンダードについてひたすら書きます。

Confirmation のアウフタクト

この曲の最初の音はAではなくCです。

 

チャーリー・パーカーはこの曲を何回も録音していますが、私がチェックした限り、一貫して1小節目の1拍目のAの半拍前に、その6度下のCの音の8分音符をアウフタクト(弱起)として演奏しています。いずれも比較的はっきり演奏しているので聞き逃すはずはないと思うのですが、ジャム・セッションではなぜか演奏しないプレイヤーがいます。

 

ひょっとしたら曲集には書いていないのかもしれません。でもそれは言い訳にならないと思います。ジャズは、聴覚芸術なので、譜面(視覚)も大事ですが、譜面を見ることで耳を使わなくなってしまっては本末転倒ではありませんか。練習するときも譜面にかじりつくのではなく、音源をじっくり聴いて覚えることがとても重要なことはいうまでもありません。

 

ちなみに、チャーリー・パーカー以外の演奏をいくつかチェックしてみたのですが、最初にAの音を半拍前(4拍目ウラのアウフタクト)とし、次のCの音を1拍目ウラに演奏している録音もありました。

 

確かに「原曲に忠実に」ということだけがジャズの精神というわけではないというのは事実でしょう。しかし、ネイティブではない私達がジャズの真髄に少しでも近づくには、謙虚な姿勢で丁寧にケース・スタディを積み重ねるということも重要なのではないか、と個人的には思います。