吉岡直樹のジャズ・スタンダード研究

ジャズ・スタンダードについてひたすら書きます。

Alone Together の9小節目

平行調同主調の関係にあるキーを行き来するが、ここでは曲の調号に対するメジャー・キーの文脈で捉えるのが良いでしょう。

この小説は♯IVm7-VII7や♯IVm7(♭5)-VII7とする曲集が多いのかどうかわかりませんが、私の周囲ではそのように演奏するケースが大半のように感じます。

このコードなぜ「III某」ではなく、別のコード(この曲においてはIIm7-V7)に進行するのかと、私は初心者の頃に疑問に思っていましたが、以下のように説明できます。

この♯IVm7-VII7や♯IVm7(♭5)-VII7は広義のトニック・ディミニッシュ、すなわち、Idim7とその転回形である♭IIIdim7、♯IVdim7、VIdim7(これはあまりみかけないけれども)の代表的な代理コードといえます。このうち♭IIIdim7は、ダイアトニック・コードのIIm7とIIm7をスムーズにつなぐ進行(IIIm7-♭IIIdim7-IIm7、IIm7-♯IIdim7-IIIm7)のほか、Imaj7-♭IIIdim7-IIm7-V7の中にみられるように、直前のコードは問わず、単にIIm7に進行するケースがありますが、この曲のこの小節では後者のケースと考えれば理解できるでしょう。

このことは、実際にいくつかの音源をあたってみるとより明らかになります。

  • 1955年、Art Blakey and the Jazz Messeners / Live At Cafe Bohemia Vol. 1:♭IIIdim7
  • 1955年、Miles Davis / Blue Mood:テーマ部分は聞き取りにくいが♯IVm7 - VII7(ただし次の小節はIVm7-♭VII7)
  • 1958年、Sonny Rollins / The Contemporary Leaders:♯IVm7 - VII7
  • 1959年、Chet Baker / Chet:♭IIIdim7
  • 1959年、Kenny Dorham / Quiet Kenny:♭IIIdim7
  • 1963年、Paul Desmond / Take Ten:♭IIIdim7
  • 1972年、Jim Hall-Ron Carter / Alone Together:♯IVm7 - VII7
  • 1983年、Pepper Adams Conjuration Live at Fat Tuesday's Sesstion:♯IVm7 - VII7(ただし次の小節はIVm7-♭VII7)

なお、IIm7に進行する♯IVm7-VII7や♯IVm7(♭5)-VII7は、ほかにStella By Starlightの冒頭が有名でしょうか。