吉岡直樹のジャズ・スタンダード研究

ジャズ・スタンダードについてひたすら書きます。

Stupendous-Lee の24小節目

突然ジャム・セッションではあまり取り上げないジャズ・オリジナルの話題ですみません。ジジ・グライスの曲で、When Farmer Met Gryce に収録されています。 AABA形式のセクションBの8小節目、つまり、セクションAに戻るところです。 ジャズ・オリジナルなの…

I'll Close My Eyes の3-4小節目

5小節目のVIm7への(広義の)トゥ・ファイブです。そして、その「トゥ」は、VIIm7(♭5)と考えがちです。 その理由として、第一にVIIm7(♭5)はダイアトニック・コードであること。第二に、5小節目の VIm7 を平行調のトニック・マイナーと考えた場合、3-4小節目…

Over The Rainbow の2小節目

この曲はよく知っているのだけれども、コード進行のバリエーションが多すぎて、譜面なしで演奏するには無謀だと個人的には思います。いざ、自分で演奏しようとコードを検討すると、なかなか全体的に調和させるのが難しく非常に悩ましいのですが、それもまた…

But Not For Me の1-2小節目

私の参加したジャム・セッションでは、ほとんどの場合、 II7 | V7 | で演奏するような気がします。 しかし、そのような演奏は思っているほど多くはないように思います。 1950年、Ella Fitzgerald と Ellis Larkins のデュオ:Imaj7-VIm7 | IIm7-V7 | 1953年…

I'll Close My Eyes の30小節目

うしろから3小節目です。 29-30小節目は、31小節目のトニック・メジャーに向かう何の変哲もない IIm7-V7 だ、と片付けてしまうことは簡単です。 ところが、テーマをあらためてじっくり聴いてみると、2分音符のメロディ(階名「レミ」)に対して効果的なコー…

There Will Never Be Another You の11-12小節目

むしろ興味があったのは13-14小節目だったのだが、聴いていたらここも多少気づきがあったので記事にしてみます。 まずは音源を聴いてみましょうか。 1950年、Lionel Hampton:Imaj7 III7 | VIm7 | 1950年、Sonny Stitt:曖昧なところもあるが基本的に Imaj7 …

I've Never Been In Love Before の15-16小節目

この曲のこの部分のように、一度トニック・メジャーに解決してから I7 や Vm7-I7 に進行するか、それとも直接 I7 や Vm7-I7 に進行するか悩む曲は少なくありません。 メロディ、歌詞、その他さまざまな要素があり、また好みが分かれるケースもあります。 195…

I Remember You の28小節目

AABA形式の最後のAの12小節あるうちの8小節目です。 ジャム・セッションやちょっとしたライブで譜面なしでこの曲を演奏ときにいちばんバリエーションがあって迷う箇所がここではないかと思います。 メロディが2拍目から4分音符で階名「ミレド」となっていま…

How Deep Is The Ocean の13-16小節目

この曲のコード進行のなかでもっともバリエーションが多い箇所ではないかと思います。 参照した音源がすべてCマイナー・キーでの録音だったので、コードは実音で書きました。 1947年?、Charlie Parker:C♭7 | C♭7 | Cm7(♭5) F7 | Dm7(♭5) G7 | 1951年、Mile…

I'll Close My Eyes の13-14小節目

ここは、テーマ中いつも気になるところです。 リハーモナイズしないのであれば、基本的には III7 だけれども、もちろん、関係コード(と私が呼んでいるもの。すなわち、ドミナント・セブンス・コードに先行するマイナー・セブンス・コードまたはハーフ・ディ…

You'd Be So Nice To Come Home To の25-26小節目

ABAC形式のセクションCの冒頭2小節です。 ジャム・セッションのように譜面なしで演奏するときにいつもどうしようか悩むところです。いくつか音源をきいてみましょう。 1953年?、Bud Powell:VIIm7(♭5) | III7 | (ストレート・メロディにあわないが、大きく…

But Not For Me の13-14小節目

ここは、メロディとコードとの関係で非常に悩ましい箇所です。 ジャム・セッションでは、この2小節目を II7 とするか、あるいは、VIm7 | II7 | などとするケースが多いように思います。 ところが、ここのストレート・メロディは、階名で「ミーファド | ドラ…

There Will Never Be Another You の3-4小節目

一見議論の余地がなさそうな箇所と思うかもしれません。よく聴いてみましょう。 1950年、Lionel Hampton:VIIm7-III7-♭VIIm7-♭III7 | VIm7-II7-VIIm7-III7 | (間違えていたら申し訳ないですが) 1950年、Sonny Stitt:VIIm7 | III7 | 1951年、Wynton Kelly…

If I Should Lose You の28小節目

うしろから5小節目です。 この曲はマイナー・キーで始まって平行調のメジャー・キーで終わります。 最後の29-31小節目は、IIm7 | V7 | Imaj7 | と、いわゆる「トゥ・ファイブ・ワン」で終わることが多いです。それに対して、28小節目は、メジャー・キーの「…

But Not For Me の7-8小節目

言いたいことがたくさんある But Not For Me なのですが、この箇所についてはあまり議論になっていない気もします。 メロディは階名「ミ」で伸びていて、次の小節に向かって8小節目の2拍目から四分音符で「ミファソ」とあがって行きます。 7小節目がトニック…

Up Jumped Spring の38小節目

AABA形式のセクションBの6小節目です。 直前の小節がA♭m7 で、ここの小節がD♭7と思っていましたが、ほかのコードがついた譜面を渡されて、「そういえばどうだっけ?」と思ってあらためてきき返してみました。 作曲者本人であるフレディ・ハバードのアルバム …

Almost Like Being In Love の4小節目

この曲の一番解釈が分かれる箇所かと思います。 大雑把に、 ♭IIIdim7 VIm7 VI7 の3つ、およびそれらから派生したものがあると考えられるでしょう。 メロディは、階名「ラーラシ」なので、どれも理論的にはあいます。ただし、VI7にするのであれば、少なくとも…

As Time Goes By の2小節目

たまに、Vm7-V7となっている譜面を見かけます。 記憶が定かではないのですが、キーがFでCm7-C7としている日本で出版された曲集を見たことがあるように思うのです。 もしそうだとすれば、これは、Gm7-C7と書いてあったのを、原稿から出版までのどこかの過程で…

Satin Doll の3-4小節目

テーマ中は IIIm7-VI7 | IIIm7-VI7 | のことが多いですが、ソロ中は、IIIm7 | VI7 | とすることがあるということではありません。それをいうなら、1-2小節目で説明しますから。 今回の議論は、IIIm7をどのスケールで演奏するか、ということです。 原則として…

There Is No Greater Love の13小節目

5-6小節目、すなわちAABA形式のうち最初のセクションAはII7なのはよいとして、2回目のセクションAの5小節目はどうなっているかということです。 ストレート・メロディとの関係からいえば IIm7 でも II7 でもよいはずなのですが、私は、なんとなく II7 でない…

Beatrice の12小節目

オリジナル・キーで説明します。すなわち、Fメジャーで始まって、Fマイナー(同主調)で終わると解釈するものとします。 さて、この曲の12小節目はDm7、すなわちFメジャーからみて平行調のトニック・マイナーなのですが、たまにDmaj7と書いてある譜面を見か…

All The Things You Are の1小節目

All The Things You Are のキーを伝えるとき、例えば「Cマイナーで。」と伝えたら、「あの曲はメジャーで終わるから、マイナー・キー(短調)ではなくメジャー・キー(長調)の曲だ。だから、『E♭で』と言いなさい」といわれている現場に遭遇したことがあり…

Invitation の1-2小節目

一般に、トニック・マイナーのときのスケールは、 エオリアン(ナチュラル・マイナー・スケール) メロディック・マイナー・スケール ドリアン の3つだと私は整理しています。このほか、例外的にハーモニック・マイナー・スケールの場合があるかもしれないの…

Autumn Leaves の29小節目

うしろから4小節目ですね。 この曲を比較的素直に演奏する場合、平行調関係にある2つのキーの「トゥ・ファイブ・ワン」が繰り返し出てきます。 つまり、調号が♭2つのB♭/Gm のキーの場合、Cm7-F7-B♭maj7 と、Am7(♭5)-D7-Gm6(またはGm7)ですね。 したがって…

Old Folks の17小節目

ブリッジ(サビ)の1小節目であります。 ここはいつも、Imaj7 か Vm7(次の小節と合わせてVm7-I7)で悩みます。したがってどちらが来てもよいようにベーシストの私はトニックを弾きます。そうすれば、Vm7が来ても、Vm7/I = I7sus49 のように響くからです。 …

Now’s The Time の6小節目

インストゥルメンタルの曲なので、以下わかりやすいようキーはFとしましょう。 この小節はどのように演奏しますか。ジャム・セッションなどでは、メロディをF-F-G-C-F(以上8分音符)-B♮(8分音符か付点4分音符など)とし、コードをBdim7のようにするケース…

Day By Day の26小節目

この曲をABAC形式とすると、ここはセクションCの2小節目です。 メロディは、前の小節から階名「ラ」の音が1拍目までタイで続いていて、2拍目以下が4分音符で階名「シドレ」です。 ここをサブドミナント・マイナーとしている譜面が多いのですが、実際はどうな…

It Could Happen To You の7小節目

ジャム・セッションの定番曲ですが、なぜ皆が皆IIIm7(♭5)で演奏するのかといつも疑問に思っていました。 「そりゃ、みんな音源なんかちゃんときいていないもん、曲集のコードがそうなっているからでしょ!」という至極まっとうな答えを吐くと話が終わってし…

The Days Of Wine And Roses の10小節目

前の小節目は、Imaj7でもよいが IIIm7 とするとして、次の小節が IIm7 の場合、この小節をはさんで、「サン・ロク・ニ」になります。 それでついついIIIm7 | VI7 | IIm7 と書いてしまいがちなんですよね。私にも心当たりがありますが、頭でわかっていてもう…

Just Friends の11小節目

話が前後しますが、この次の小節のメロディは階名「ラシドミ」(キーがFの場合D-E-F-A)で、コードが VIm7 の場合、コード・トーンのルート、長9度、コード・トーンの短3度、同じく完全5度となっています。 さて、11小節目に戻ります。信頼できる複数の曲集…